カルテがないC型肝炎給付金請求訴訟

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COLUMN

 ***速報***
2025年5月13日、カルテが無く、かつ、担当医師も亡くなってしまっているケースで、勝訴的和解が成立した。
 原告Mさんは、他の個人病院で子宮筋腫と診断され、膣上部切断術、左付属器摘出術(子宮と左卵巣の摘出術)を受けた際、手術をしたC医師は、子宮動脈を傷つけるというミスをしてしまった。傷口から腹腔内に大量に出血し、手に負えないと思った医師は、救急車を呼びMさんを名古屋第一赤十字病院(第一日赤)に救急搬送した。昭和61年3月20日のことで、38年も前である。
 第一日赤のA医師が止血術を担当して下さった。そして、命は助かった。その際、フィブリノゲン製剤が使われたと裁判所が認めてくれたのである。

コラム

C型肝炎給付金をもらうには

  1. C型肝炎給付金は、フィブリノゲン製剤・フィブリン糊、PPSB、コーナイン、クリスマシンを病院で投与されたことによって、C型肝炎に感染した方(または、その相続人)に、支払われます。

    給付金の額
    病態 給付金の額
    C型の肝硬変・肝がん、死亡、
    C型の劇症肝炎に罹患して死亡
    4000万円
    慢性C型肝炎 2000万円
    C型の無症候性キャリア 1200万円

    輸血によってもC型肝炎に感染することはありますが、輸血による場合は、政府の方針により給付金は支払われません。

    フィブリノゲン製剤が医師によりよく使われたのは、昭和40年~平成3年頃までです。

    フィブリン糊が心臓手術、やけどの植皮術、肝臓手術などで使われたのは、昭和53年頃~昭和63年7月までです。

  2. 詳しくは、政府広報オンラインをご覧ください。

  3. 出産した病院や手術を受けた病院に、フィブリノゲン製剤が納入されていたか否かを調べるには、厚労省のフィブリノゲン製剤などが納入されていた医療機関名の公表一覧表をみます。

産婦人科関係

A.出産時に大量出血、止血のため子宮摘出までしたケース

Y.Kさんは、昭和49年8月、長女を出産した。母子手帳には、「前置胎盤」「輸血3600ml」「帝王切開」しか書いてなかった。

Y.Kさんは、出産後まもなく、肝機能が悪くなり、肝臓で入院した。非A非B肝炎といわれた。平成2年以降にC型肝炎と診断された。やがて肝硬変となり、平成24年1月亡くなった。

長女は、「私を出産したために、母はC型肝炎になり亡くなったのだ」と自分を責めたりしたが、フィブリノゲン製剤のせいかもしれないと考え、北村法律事務所に相談した。

カルテは残っていなかった。担当医は生きておられたが認知症で証言してもらえなかった。

それでも、ご遺族はC型肝炎給付金をもらうことができた。

北村法律事務所では、出産時、前置胎盤のため、大量出血をして、出血を止めるため子宮を摘出したケースでC型肝炎給付金をもらうことができた複数の実績があった。

B.子宮内反症のため、大量出血・ショック状態となったケース

M.Iさんは、昭和62年6月、四男を出産した。母子手帳には、「子宮内反症をおこし輸血10本、輸液500×5」「出血量 多量2300ml」と書いてあった。

子宮内反症は、子宮が内膜面を外方に反転し、裏返しになってしまい、子宮内膜が露出して、胎盤剥離面から大量出血が続くという病態である。

担当医は、麻酔をせず、内反した子宮の整復をしたため、M.Iさんは極めて激しい痛みと大量出血のためショック状態となり意識を失った。

カルテは残っていなかった。担当医は亡くなっていて、息子さんは医師をしておられたが小児科で、何も知らないと言われた。

本人と夫の証言と、実務経験豊富で権威ある医師の意見書により、C型肝炎給付金をもらうことができた。

C.出産直後、子宮破裂して、大量出血、ショック状態となったケース

T.Mさんは、昭和59年3月、長女を出産した。母子手帳には、「出血量中量439ml」としか書いてなかった。

しかし、出産後から20日間入院し、さらに、GPT値が上昇してきたため5月17日から約1ヵ月間その産婦人科病棟に入院したが、よくならず、転院したのであった。

T.Mさんは、担当医に入院証明書を書いてもらっており、それを取り寄せたところ、「分娩直後よりショック状態となったため、開腹したところ、子宮破裂して腹腔内に2236gの出血があった」ことがわかった。

カルテは残っていなかった。担当医の協力は得られなかった。

本人の証言と経験豊富で権威ある医師の意見書により、C型肝炎給付金をもらうことができた。

D.その他

常位胎盤早期剥離
弛緩出血
病院が田舎のため、輸血液が届くのに1時間以上かかる場合
などのケースで、C型肝炎給付金がもらえています。

C型肝炎とフィブリノゲン製剤使用に理解のある病院

  • 富山県の五十嵐産婦人科
  • 長野県飯田市の病院
  • 名古屋市の藤田医科大学ばんたね病院
  • 藤田医科大学附属病院
  • 名古屋第一赤十字病院(第一日赤)
  • 名古屋大学附属病院
  • 瀬戸市の公立陶生病院
  • 一宮市民病院
  • 名古屋市の聖霊病院
  • 中京病院
  • 錦見病院
  • 岡崎市の吉村医院

これらの病院で出産し、C型肝炎になった方はいらっしゃいませんか?

心臓の手術をした方

A.Kさんは、心臓が悪く、昭和53年、心臓バイパスの手術をした。

それ以降、肝機能が悪くなり、平成18年頃には、C型肝硬変と診断された。心臓病のためインターフェロンもできず、ほとんど寝たきりになっていた。

カルテは残っていなかった。担当医が生きておられて証言して下さった。「フィブリン糊を使った」と明言して下さった。この先生は東京女子医大の助教授までやり、アメリカ留学もした偉い先生で、ヨーロッパの論文も読んでおられた。

A.Kさんは、C型肝炎給付金をもらうことができた。

その後、担当医の先生は亡くなってしまわれたが、この先生は、どういう場合に、フィブリン糊を使うのかの方針を証言していかれた。この病院で心臓手術をしてもらって、C型肝炎に感染した方は、C型肝炎の給付金をもらえる可能性があります。

(岐阜の千手堂病院)

心臓の手術をしてC型肝炎に感染した方の場合、カルテが残っているケースが多いものです。まず、カルテが残っていないか、手術をした病院に聞いてみましょう。

カルテが残っていたのは、
大学病院
こども病院
逓信病院(NTT病院)
などです。

大やけどの皮膚移植の際、フィブリン糊を使ったケース

F.H.さん、
広範囲の熱傷の治療としての皮膚移植でも、フィブリン糊を使い、担当医の証言で、C型肝炎給付金をもらうことができた。

(東京医科大学)